モンスターの降臨

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人懐こい笑顔に乗る、綺麗な二重の瞳。 薄い口唇に、通った鼻筋。 陶器のように滑らかそうな肌。 緩いパーマを施した茶色い髪が陽射しに透ける。 この人……もしかしなくても、俗に言うイケメンっていうやつ? クラスで初めて話す男子がこんな整ったイケメンだなんて、ついているのかいないのか。 思わず彼の顔を見つめたままゴクリと喉を鳴らすと、また彼は楽しそうに笑った。 「ふ、……お腹すいてんの?」 「え?いえ、……」 私が返事をするその前に、彼は無造作に自分の制服のポケットから手を出した。 「はい。これ、あげる」 目の前に差し出された手。 ゆっくりと開かれたその手の上には、両端を絞った小さな包み。 「え、あ、ありがとう」 素直に両手を差し出した私を見て、彼はもう一度瞳を細めて口を開いた。 「じゃあね。一年間よろしく、学級委員長さん!」 開いた手の中に包みと言葉を同時に落として、彼は笑顔のまま私の席を後にした。
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