モンスターの降臨

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『三咲って可愛いよね』 彼の台詞が頭の中でぐるぐる回る。 鼓動は治まる事を知らずに騒ぎ立ててる。 右手の平で存在感を増していく、透明の包み紙の中で熱を待ちわびる、薄い水色の小さなキャンディ。 「綺麗な色……」 吸い寄せられるようにそのキャンディを口にすると、今まで味わった事もない不思議な味。 これ、何の味だったっけ? よく考える暇もなくそれは甘い余韻を残して、熱い口の中で溶けて、消えた。 ……それからすぐ、私は嫌でも知る事になる。 「束元く~ん、あたしもキャンディ頂戴っ」 「いいよ~、どれがいい?」 「やーん、どれにしよっかなぁ」 「松田さん可愛いから。二個あげちゃう!」 彼の名前は“束元 悠希哉(ツカモト ユキヤ)” 同じクラスの、やんちゃで目立つ男の子。 女の子なら誰にでも優しい、そして軽い。 所謂ただの、チャラい人…… .
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