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「そんな事言う子にはあげまっせーん」
「食べるっ、食べますよっ」
彼に奪われそうになったあわだまを慌てて口の中に放り込む。
口の中ですぐに弾けたそれは、しゅわしゅわと微かな音を響かせながら泡と共に溶けていった。
「ふふ、面白い顔」
束元君は上目遣いで私の顔を覗き込んでは、飴で膨らんだ頬を突っついてくる。
「ちょっと……っ、やめて」
クラスの皆も大勢いる教室の中、何だか異様に恥ずかしくて思わず彼の手を振り払った。
一瞬、制止して動きを止めた束元君。
あ……しまった。
だけど彼は意に反して、また楽しそうな笑みを見せて私を見つめ返してきた。
「……ホント。三咲って可愛いよね」
「……はいはい。ありがとうございます」
今更、照れたり喜んだりなんかしない。
誰にでも言っている言葉。
私は簡単に信じたり、しない。
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