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「つっ……束、元くん……っ?!」
声が上ずる。
自分でもびっくりするくらい変な声が出て、息を飲み込んだ。
「何~?束元君がイケメン過ぎて辛いって話~?」
冗談ぽく言葉を繋ぐ彼が、私と楠原さんの肩の間に入り込むように手を置いて笑顔を覗かせる。
「え、あのっ「束元君てば!そんな訳ないでしょ~っ」
困り果てる私の声を遮るように軽やかに答える楠原さんの言葉。
「ねぇ?委員長?」
「え?あ、うん」
不意に話をふられて、咄嗟に相槌を打った。
ハラハラドキドキしているのは、もしかしたら私だけ、なのかも。
楠原さんの言葉は柔らかい針のように身体を麻痺させていくよう。
「ふぅん、三咲は……違うよねぇ?」
毒が回る。
束元君、お願いだから、そんな捨てられた仔犬みたいな瞳で見詰めないで……。
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