プロローグ

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プロローグ

(1)飲み過ぎ…かしら? ・・・  何で、アタシの体調が最悪の時に限って、大事な営業のプレゼンが入るんだろう?  比較的不定期に襲ってくるアタシのブルーなサイクル。  月1で定期的っていうのなら、たまたま仕事のサイクルと重なることもあるだろうし、運だと思って諦めるしかないかもしれないけど…。  多分、いろいろ…精神的なものが絡んでるんだろうなぁ…。アタシは溜め息をつく。  お腹痛いし、トイレで色々と面倒臭いし、何かもう鉄錆の臭いとかスンゲー気になって、男どもの近くに行った時、超~気まずいし。  午後からのプレゼンの時間は刻々と近づいてくるっていうのに、アタシの気分はドンドン下り坂で…天気予報風に言うなら、「曇りのち超~雨。失敗警報、発令中~!!」って奴だ。  こんな気分と体調の中で、いったいどんな素晴らしいプレゼンが出来るっていうの?  元々、少なめのお弁当を半分以上残して、アタシはお茶を飲む。  緊張の中で有り得ないとは思うが、万が一、お腹いっぱいで眠くなったりしたら最悪だ。午後一の睡魔を決して侮ってはならない。アタシにとっては、最も手ごわい悪魔なんだ。あの睡魔という奴は。  空いている化粧室を探し、手早く歯を磨く。  ネトネトした口からは、ネトネトした言葉しか出てこない。プレゼン前には特に念入りに磨くことにしているんだ。目の前の鏡に向かって歯を剥き出し、何とか合格点の白さを確認すると、アタシは資料を取りに職場へと戻った。 ・・・
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