第1章 アタシの仕事

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   やっとのことで、アタシがオバァから解放されたのは終業時間も近くなってからだった。  確かにアタシは大失態を犯した。それは認めるわよ。  大事なプレゼンを直後に控えていながら、その控え室で居眠ってたらしいから。  でもさ。  ほら、結構、命の危険に関わるような重大な病気だったって可能性もあるじゃない?  アタシ、聞いたことあるもん。確か、脳梗塞…とかは、意識不明になった時に、けっこう大きなイビキをかくらしいんだ。  え?…アタシ?  いや。アタシは、かいてないわよ。イビキなんて。よしてよね。ん、もう!  アタシの場合は、ヤマシ~太の証言によると「すやすや」…という吹き出しを頭上に表示したくなるぐらい、気持ちよさそうにしてたらしいのよ。  だから、何人かは体調不良を心配してくれた人もいたんだけど…ほとんどの人は、アタシが昼食後の満腹感に負けて、幸せそうに眠りこけたんだ…って信じて疑わなかったみたいなの。  でもね。アタシ、お弁当、半分も食べてないんだよ?  満腹感どころか、空腹をとおりこして飢餓よ、飢餓。ほら、お腹空いた時、下手にちょびっと食べたりすると、逆にお腹減ったりするってこと無い?  本当に体調が最悪だったんだから。本当なんだからね。  って、今更、誰に主張したところで、どうにもならないんだけどさ。あぁ~あ。 ・・・
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