第1章 アタシの仕事

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   でも、腹が立つのは、やっぱりあのヤマシ~太の奴よね。  そりゃ、アイツの薬を勝手に飲んだのはアタシが悪いんだけどさ。  でも、アイツは、アタシが不覚にも眠りこけてしまったのが、アイツの薬を飲んだせいだって分かっているハズなのに、そんなアイツが一番アタシを軽蔑したような目で見ているんだよ。  もう、本当に嫌な奴。  でも、アタシも本当にツイて無いよね。  頭痛薬か鎮痛剤、そうでなければ風邪薬…と思って見つけた唯一の薬が、よりによって睡眠薬だったなんて…。  でも、なんで、あんな年がら年中、寝不足な顔をしているヤマシ~太の奴が、睡眠薬なんか会社に持ってきてるのよ?  まぁ…そうか。睡眠薬に頼っても眠れないほどの…不眠症なのかもしれないわね…。  そう考えると、急にアタシは、あの情けない顔をしたヨレヨレのヤマシ~太の奴が気の毒に思えてきた。  終業の鐘がなったので、アタシはさっさと机の上を片付けて帰宅の準備をする。  ジロッとオバァがコッチに視線を向けたが、愛想笑いを浮かべて会釈をすると、ふぅ~っと…音が聞こえてきそうなくらい深い溜め息をつかれてしまった。はぁ。なんでよ?  ボロボロの精神状態を抱えながら、アタシは帰りがけにヤマシ~太の後ろに立ち止まり声をかけてやる。  睡眠不足でヨレヨレの彼に、少しだけ…ほんの少しだけよ?…仲間意識が芽生えて…。 ・・・
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