未来I-ii

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上里さんは私とは親子まではいかないけど、年の離れた女性の上司。 ふふふっ、と笑いながら私の横を通り過ぎてゆく。明るくて気さくで指示が的確な素敵上司だ。 そして今週末の土曜日、ショップに増設されたカフェがオープンする。 販売用の雑貨をディスプレイに取り入れたり、組み合わせたりリメイクして新たな商品として置いてみたり、作って楽しむ商品としても売っていきたい。 金曜日は準備の最終段階となり、土曜日カフェオープン。日曜日には簡単なオブジェを作るリメイク教室をカフェの中で行うことになっている。 ただ、上里さんの指示だからやりますけど、司会進行役兼講師が私。 もちろん、私の解説だけではお客様が上手に作れるかはわからないので、何人かが直接お客様をサポートしていくのだけれど。 週末までには、コンディションを整えていかねば、と思う。 ミスしないように、ぼぉっとしないように。岡野のことを気にしている場合ではないのだから。 数時間前、開けた岡野のスーツケースからは、とてもいい香りがした。うちのとは違う、柔軟剤の匂い。 洗ってくれる人が、居た。 ふっくらした顔も、その人が作り上げた。 今までのグレーゾーンがブラックになった。 岡野、初めての凡ミス。 どんまい。
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