未来I-ii

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岡野の部屋では、今まで着ていた服が適当に畳まれ、床に雑に投げ置かれたようだった。 ベッドの中で壁側を向いて横たわり、左腕を掛け布団に乗せている。 まだ熱が高いのか、吐く息は荒い。 後ろ姿だけでは眠っているかは、分からない。壁と岡野の顔の間へと覗き込んで、見て確認せねば。 そんな恐ろしいことをする気は、毛頭ないけど。 でも、でも、少しだけ。 冷却グッズを頭に使いたい。勝手に頭を持ち上げるよりも、了解を得て、できれば自分で頭を持ち上げてほしい。そして枕を入れ替えるという間近での作業の時は、どうか睨まないでもらえないだろうか。 少しだけ、岡野の左耳に息がかからないように、そーっと... 「ギシッ」 「.....ッ!!」 ベッドを軋ませてしまい、すぐに戻る。 私は何もしてませんよ、と、岡野から視線を外し、明後日の方向を見てみる。 そんな私を誰も見ていない。岡野も私を振り返り見てはいない。 .....やはり、眠っている、ように、見えた、苦しそうに。 おそらく瞳が閉じられている。 いや、少し開いているのかな。 壁へと、顔が真っ直ぐ横を向いているのではなく、少し枕側へと俯いていて、その見辛さが憎い。 イビキでも聞こえれば、容赦無く頭をいきなり冷やすのだけれど。 眠りがもう少し深くなるまで待とうと、床に腰を据えた。
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