未来I-ii

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「岡野さん、土曜日に発注頼んだ商品、きてる?」 「え、あっ、はい。届いてます。いつもの場所に片付けておきました。」 今日はどうもおかしい。 遅刻を上司の上里さんに謝り午後からの仕事についたのだけれど、やったことのミスに気づいてやり直したり、同僚に何か尋ねられてもピンとこなくて慌てて思い出したり.....。 私は仕事をしにきたのではなく、足を引っ張りにきたのかと自己嫌悪。仕事中の自己嫌悪さえ余計な考え事だというのに。 原因は岡野だ。 こんなに私のプロテクター、弱かったっけ? 「岡野さん、体調悪い?」 上里さんが心配そうに、私の顔をじっと見た。 「だ、大丈夫です、元気です。」 無駄に笑顔で返すのは、おかしさをアピールしただけだったと気づいた。瞬きも多かったかもしれない。 「ならいいけど。ご主人の風邪、うつらないように気をつけてね。今週いっぱいは倒れたりしないでね。」 「はい。週末は何があっても出勤しますから !」 「風邪引くのは、来週でお願いね。」 私が勤めるこの会社は、家具や雑貨、衣類を扱うインテリアのお店。 前に勤めていた会社とは違いはあるけど、やっぱり空間を扱う仕事が好きで、全く違う仕事を選ぶことができなかった。
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