同伴デート

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――― 若い頃は、多くの人が一度は憧れるであろう『都会』。 そこに行けば、華やかな職、楽しい遊び、そして、多くの人との出会いがある。 私もそんな『都会』に憧れていた若者の1人。 地元から程近い街にある美容専門学校を卒業後、都会に出て職を探した。 しかし・・・。 未熟な私が憧れた華やかな職場は敷居が高すぎて、雑誌やメディアに掲載されるような人気サロンに就職したところですぐに技術を習得できるはずがなかった。 受付をしながらカットされた髪の毛を箒で掃き、来店した客の上着や手荷物を授受するだけの毎日。 同じ学校を卒業した同期たちは、小さいサロンに勤めながらも少しずつ実技に携わるようになっていた。 それなのに私は、背負っている看板ばかり大きく依然下積みから抜け出せない。 営業終了後先輩に付いてもらって技術を学ぼうにも、残業ありきの職場ではそんな時間は少ししか取れないというのが現状だ。 結局私は、憧れて入ったはずの職場を逃げるように辞めた。 理想ばかりが高くて、現実を見る事ができなかった自分を悔やむ。 そして精一杯頑張ったのにも関わらず、その代償となる『賃金』は雀の涙程しかなかった。 仕事を辞め、新たな職を探す。 しかし、仕事が沢山あると聞いて出てきたはずのこの都会でも、満足できるような仕事を探す事はとても難しかった。 日に日に減っていく貯金。 そしてそれが底をつき始めた頃、私は『彼女』と運命の出会いを果たした。 ――― 「ねぇ、私と一緒に働かない?」 「えっ・・・?」 ――― 知り合いの伝手で美容コンテストのモデルを務めた時の事だった。 日給1万円というそこそこの報酬を提示され、その場凌ぎで引き受けた単発のアルバイト。 そのコンテストに同じくモデルとして参加していたのが『彼女』だった。 ――― 「私、マリア。 あなたみたいな可愛い女の子を捜していたの。」 「えっ・・・、いや・・・。」 「今、何か仕事をしてるの?」 「いえ・・・。」 「そう・・・。それなら・・・。」 ――― 彼女に案内されて向かった先は、この界隈随一の繁華街。 カラフルなネオンが煌めくその街は、当時の私にとっては未知の世界だった。 そして彼女に手を引かれ入った店は、とある『接客業』のお店。 その仕事の報酬は・・・、日給5万円。
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