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住んでいた職場近くのマンションを引き払い、妹が待つ地元の家へと帰る。
ろくに挨拶もせず店を辞め、申し訳ない気持ちはあった。
しかし小学生の妹を1人きりにしておく訳にはいかなくて・・・。
―――
「ただいま、芹佳。
今日からお姉ちゃんが一緒にいるから。
もう・・・、泣かないで・・・。」
「お姉ちゃん、ありがとう・・・。」
―――
両親の葬儀は、近くにいる親戚が全て賄ってくれた。
地元に帰った私は、すぐに新たな職を探す。
しかしそれも、思い通りにいくはずがなくて・・・。
私の資格と学歴で働ける職場は限られていて、それはどれも賃金が安すぎる。
妹と私、2人分の生活費を稼ぐためには、それなりの収入が必要だった。
だからといって、こんな田舎には今まで働いていたような『サービス業』の店はない。
ふらふらと地元の小さな繁華街を歩きながら、溜め息を吐く。
しかし、その時目に飛び込んできたのは・・・。
―――
『スタッフ募集!!』
『20歳以上、経験不問!!』
『レギュラー歓迎!!』
―――
地元の繁華街にあった、小さなスナック。
風俗の仕事に比べれば賃金は安いけど、レギュラーとして働ければ申し分のない報酬が貰える。
夜間は不在がちになるから、芹佳に寂しく可哀想な思いをさせるかもしれない。
だけど、生きていくためには仕方ないもの・・・。
そう割り切って、ここで働いてみよう。
そして私は、求人広告の掲げられたそのスナックの扉を叩いたのだった。
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