Memento Mori

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西暦2014年1月9日 茨城県鹿嶋市某所  竹林に囲まれた小道を二人の男が足早に歩いていた。 一人は、黒い長いコートと黒いスーツを纏ったサングラスの男。もう一人の男は、背中に狼の刺繍が施された灰色のツナギを着ている。 明らかに正反対の服装をした男たちは、あまりにも場違いな格好でもあった。 男たちは、薄暗い小道をライトの明かりを頼りに歩いていた。 しばらく小道を歩くと墓地があった。 墓地の入り口には、パトライトを点滅させた二台のパトカーと一台の白い覆面パトカーが停車しており、入り口には黒と黄色のテープで規制線が設けられていた。 規制線の外には、近所の住人たちが野次馬として群がっている。 野次馬の中を強引に進むと規制線の前に立っている警察官の前へ歩いていく。 「なんだ? あんた達? 」 いきなり現われた場違いの格好をした男たちに警察官は、怪訝な顔を浮かべながら聞いてくる。 「警視庁からの要請で来たCIAのエージェントです。現場責任者と話せますか?」 スーツ姿の男は、身分証をみせながら話す。 いきなり警視庁とCIAの言葉を聞いた警察官は、驚きの表情を浮かべながら墓地の奥へと走っていく。 数分後、警察官は上司であろう中年の男や刑事らを連れて戻ってくる。 「茨城県警の田岡ですが、警視庁の要請とかで? 上からはなんも聞いてないが、どう用件で?」 中年の刑事は聞いてくる。 「アメリカ中央情報局特別捜査官の半田です。こっちは矢田です。」 半田は、身分証を見せながら刑事へ挨拶をする。
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