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「この奥にある墓所が荒らされたという情報が入り、調査に参りました。現場を見せていただけますか?」
半田は言う。
「えぇ、そりゃ構いませんがわざわざCIAの方が調べるほどの事件ではないと思いますよ」
刑事は怪訝な顔を浮かべながら答える。
墓地の小道を少し歩くと目の前に小高い丘陵が見えてきた。坂の入り口には、石柱が立っている。丘陵の上には、竹林に囲まれた建屋も見える。
その坂道を上がると、建屋の周囲には数人の鑑識員が地面などを調査している。
「恐らく歴史マニアか何かの仕業だとは思いますがね。最近は、ドラマなどにもなったからねぇ」
刑事は半田たちを建屋の中にある墓所の前へ案内する。
墓所に立っていた石碑は倒れており、地面には大きな穴が開いている。その周囲には土が散乱していた。
「発見は何時ごろですか?」
半田は尋ねる
。
矢田は、無言のまま倒れている石碑や穴の中を調べ始める
。
「今朝の4時ごろですかね。墓所の掃除をしている近所の住人が発見しました。それにしても、墓を荒らして遺体を盗むとは罰当たりな奴もいるもんですなぁ」
刑事は手帳を見ながら答える。
それを聞きながら半田は、周囲を見渡す。
「付近で不振な者を見たという話は?」
半田は尋ねる。
「ないですね。まぁ、朝も早いということもあり今のところ不振人物の目撃情報もありません。」
刑事は答える。
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