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ここから夢は一度家に帰って準備をしてうちに来ることになっている。
俺も一応家の掃除や片付けをしておいた方がいいだろう。幼なじみとはいえ客人だ。
「それじゃ、準備してすぐ行くから。えっちな本とかは隠さなくても探さないから心配しないでね」
ニヤニヤと笑う夢の頭を軽く小突くと「痛っ」と声を上げ横断歩道を渡って行く。
俺も早く帰って片付けをした方が良さそうだ。隠してある本も場所を変えた方がいいかもしれない。
などと、ろくでもないことを考えている時だった。
一番最初に聞こえたのは自動車のブレーキ音だった。
けたたましいブレーキ音の後に続くのは通行人の叫び声。
俺は叫び声と同時に振り返った。
鼓動が走ったわけでもないのに跳ね上がる。
なんだ? どういうことだ? どうしてこうなった?
目の前には許容し難い光景が広がっている。
黒いブレーキ痕を残して止まった車。
駆け寄る通行人。
そして。
そして、地面に倒れる夢の姿。
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