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「幸い怪我は対したことがなく、傷も残らないでしょう」
医師のその言葉に一同胸を撫で下ろす。しかし、それにしては医師の表情は硬い。
「しかし、倒れた時に頭を強く打っており。いつ目を覚ますかわかりません。最悪の場合、一生このまま、ということも考えられます。」
直後放たれた言葉におじさんもおばさんも、そして俺も絶句した。
夢が一生目を覚まさないかもしれない?
ついさっきまで楽しそうに笑ってた夢が?
料理を作ると意気込んでいた夢が?
一生目を覚まさないかもしれない?
あまりの事態に思考回路が回らない。
どういう事だよ。おかしいだろ。今日は女の子が募らせた想いを伝える日だぞ?
確かに、夢は本当に大切な奴にしか渡さないって。今日も友達からもらったチョコを嬉しそうに頬張ってたんだぞ?
なんでだよ。いつか大切な奴ができて。チョコを渡して、幸せになって、笑ってる夢を見れるかもしれない。そんな日に。
そんな日に、こんな事にならなきゃいけないんだよ。
「なんでだよ! 助けてくれよ! お前医者だろ!? 俺の幸せなんていらねぇよ! 今日も! これからも! ずっと、死ぬまで! 俺の幸せなんていらねぇから、夢を、あいつを助けてくれよ!」
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