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医師は胸ぐらを掴まれても、払うことも抗うこともせず、ただただ悲痛な顔を浮かべてこちらを見ている。
「やめるんだ! 祐樹君! お医者様に当たっても仕方ない!」
おじさんにそう言って羽交い締めにされ、多少頭に行った血液が戻ってくる。きっとおじさん達が一番辛いはずなんだ。
俺が、血縁者でも無い俺が、憤って飛び付いてる場合じゃないんだ。
そう考えると少しずつ落ち着いてきた。
おばさんが泣き崩れているのを見て、俺はやっと冷静さを取り戻して行った。
「祐樹君、私たちは入院の手続きと詳しい話を聞いてくるから、先に夢と一緒に病室に行ってくれるかい?」
俺が落ち着いたことで拘束を解いたおじさんは、そう言うと泣き崩れたおばさんと一緒に医者について行った。
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