Sweet Sweet Chocolate

15/22
前へ
/22ページ
次へ
 医師は胸ぐらを掴まれても、払うことも抗うこともせず、ただただ悲痛な顔を浮かべてこちらを見ている。 「やめるんだ! 祐樹君! お医者様に当たっても仕方ない!」  おじさんにそう言って羽交い締めにされ、多少頭に行った血液が戻ってくる。きっとおじさん達が一番辛いはずなんだ。  俺が、血縁者でも無い俺が、憤って飛び付いてる場合じゃないんだ。  そう考えると少しずつ落ち着いてきた。  おばさんが泣き崩れているのを見て、俺はやっと冷静さを取り戻して行った。 「祐樹君、私たちは入院の手続きと詳しい話を聞いてくるから、先に夢と一緒に病室に行ってくれるかい?」  俺が落ち着いたことで拘束を解いたおじさんは、そう言うと泣き崩れたおばさんと一緒に医者について行った。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加