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夢は意識が戻ってないという事もあり、個室に移された。
おばさんは着替えや身の回りのものを取りに家に戻り、おじさんはおばさんを送り届けたら直ぐに戻ってくるそうだ。
病室で眠る夢は、ショートカットに切りそろえられた髪も、透き通るような肌も、紅い唇も、あまりにもいつもと同じで、今にも『冗談だった』と言って起き出すんじゃないか。と錯覚するほどだ。
「一度帰った方がいいんじゃないのかい?」
そう後ろから声をかけてきたのはおじさんで。
隣の丸椅子に腰を掛ける。
仕事中に直接来たのであろうスーツはくたびれ、ネクタイも緩んでいた。本当におばさんを送り届けてきただけみたいで、とても疲れた顔をしている。
「帰っても休めそうにありませんし、もう少しだけここにいます」
「お父さんお母さんには連絡したのかい?」
「メールで。『ついていてあげなさい』って言われました。明日の朝一で戻ってくるそうですよ」
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