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カーテンが白く優しい朝日を病室内に届け始めた時間になって、おじさんはおばさんの様子の確認と交代を兼ねて、家に戻って行った。
帰りがけにかけられた、あまり無理はしないようにという言葉には曖昧に返事をしておいた。
おじさんがいた時も、特に何かを話していたわけではないのに、俺と夢だけになって耳が痛いほどの静寂が訪れた。
日付は変わって2月15日。今日も変わらず学校はあるが、夢に甘いウチの両親なら休むのも許可してくれるだろう。
後で学校に電話しておこうと考えていると、ふと、サイドテーブルに置いておいた黒い箱が目に入る。
夢から俺への物。
なんだろうと開けてみると、手紙と、そして、
チョコレートだった。
そうだった。昨日はバレンタインデーだった。
本当に大切な人にしかチョコを渡さないあいつが、俺宛に。
紙の緩衝材の上には、ボール型のチョコの上にココアパウダーをかけたトリュフが6つ。
「『デザート楽しみにしててね』ってこういうことかよ。このやろう……」
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