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「バレンタイン過ぎちゃったね……」
不意にかけられた声に聞き覚えはあった。むしろ、聞き間違えるはずがなかった。
今一番聞きたかった声の主の名を呼ぶ。
「夢!! 目覚めたのか?」
チョコをサイドテーブルに置いて、夢の顔を覗き込めば、微睡むように微笑む夢の顔が目に入る。
「ごめんね。心配かけて」
覗き込んだ俺の首を引き寄せる。
「し、心配なんかしてねぇし」
クスクスと笑う夢は引き寄せた方とは逆の手で俺の口元を拭うとペロリと拭った指を舐める。
ドキリとした瞬間に、夢の顔に出た苦笑はいつもと同じもので。
「ちょっとビター過ぎたね」
「別にそんな事ねぇよ」
俺の言葉を聞いて夢は優しい笑みを浮かべた。
「本当に祐樹は素直じゃないなぁ」
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