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遥side
「へぇ?藤堂がもどってきた……ねぇ?」
風紀室にもどった俺は先程あったことを報告したのだが、風紀室内の温度は2度くらい下がっているんじゃないかというくらい委員長がまとう空気は冷たい。
愉快そうに口許は弧を描いているが、その目は笑っていない。
想像はしていたけどこれはキレてるなぁ。
触らぬ神に祟りなしといったように、他の委員はこちらを気にしながらも見てみぬふりだし。
「ふざけているのか?あぁ、ふざけてるよな。お前はどう思う?」
「どう思うって……そうですね、いいんじゃないですか。仕事も少しは楽になるはずですし」
「本当にそう思うのか?」
「……実を言うと気になることもあります」
そう、毬藻のことだ。
委員長も俺が言わんとしていることを察したのか、眉間に皺を寄せている。
「転校生が藤堂を簡単に手放すとは思えない。これから生徒会室であいつは仕事するだろうし、そうなると篠沢にも被害が及ぶかもしれない」
それは俺も考えていたことだ。
廉先輩が戻ってきたことで、楽になるかと思われた千歳にも毬藻が絡むとなると……どうしたらいいんだろう。
「藤堂がもどってきたことは喜ばしいことだが、あの集団がうるさいしな……俺としてはさっさとリコールしてやりたいがあの馬鹿共を慕うやつらのことを考えると難しい」
そこなんだよなー。
今だに毬藻の取り巻きたちを慕う生徒は多い。
そうなると署名を集めることが困難になる。
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