chapter1ー1

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桜舞う4月。 兵庫県の山奥にある県立夢の台高等学校。通称夢台。 創立30年のこの学校は去年まで女子高だったが30年目を節目に男女共学校になった。 男女の比率は8対2で女子が多く男子は今年入学する一年生しかいない。 そんな学校の通学路を二人の男子が歩く。 一人は自転車に荷物を積み押して歩き一人は徒歩だ。 自転車を押すのが鳴神尋斗(ナルカミヒロト)通称ヒロ。身長は175㎝と一年にしたら大きい方だ。 もう一人が獅子尾海斗(シシオカイト)通称レオ。こちらはヒロより大きい178㎝だ。 二人はリトルリーグから一緒に野球をしていて世代別日本代表に選ばれるほどの実力者だ。 ポジションはレオがキャッチャーでヒロがピッチャーだった。 そう……だったのだ。 中学三年になってすぐにヒロの肩が悲鳴をあげた。 当然野球が出来なくなった投手を欲しがる高校はなく自分の事を知らない山奥の夢台に入学した。
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