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―――この酔っ払いは何を言ってやがるんだ?
シンは現在26才である
少女の見た目からして15くらいであろう
もし少女がシンの子どもであれば、シンは11才にして父親になった事となってしまう
―――11ってまだ第二次性徴発現しきってねぇよな……物理的に無理だろ。
シンはハエを払うようにノイラートの手を肩から払いのけた
そして少女の目の前の椅子にどっかりと座る
「おい、てめぇの名前は何だ?」
「?」
少女は曇りのない瞳を向け、首を傾げる
「……おい、………まさか…」
シンは勢い良くノイラートの方へ振り返った
ノイラートはニヤリと意味深な笑みを浮かべている
―――やはりかっ!
バタン…
シンの額に血管が浮き出るより前にノイラートはそそくさと部屋から出ていってしまった
2人きりとなった部屋
この広い空間に響く一定の音
トン…トン…トン…
シンが鍍金の装飾が施された椅子の肘掛けを指で叩いている音だ
これを聞いているとどこか気分が悪くなってしまいそうである
シンにはドイツ人魂が染み込んでいる
真面目で時間に厳しい
時間の限り働く
出来る限り効率を上げて時間を詰める
そして働く
これがシンの性格であり生き方だ
だが、"効率良く"の度が過ぎて効率の悪い事をすごく嫌うようになった
則ち、"極度の面倒臭がり"なのだ
そんなシンに押し付けられた、少女の利用価値を見出だす為の……
―――世話。
しかも立派な付録付きだ
何せコイツは、
「……言葉が通じねぇ。」
シンは誰に対してでもなく悪態を吐き続けた
すると今までシンの姿を見ていた少女が泣きそうな顔をする
シンの怒りを感じ取ったのだろうか
「………」
シンは指を止めた
……ピキン……ピキン…
少女は涙が床に転がる
少女は泣いている
そこには感情は無い
機械的に泣いている
シンは転がる透明な粒を見る
どれもただのガラス玉だった
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