第1話

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少女はポロポロと涙を溢した "えっ!?" マルクは目の前の信じられない光景に目を疑う 少女の瞳から透明な小石が溢れ落ちているのだから当然である 「……ふ、副社長―――」 「てめえ…」 シンはリンレイの襟首を掴み壁に押し付けた ヒトラーからの命令は超が付く程の極秘事項である 当然の事ながら、民間人が知るなんて有り得ないのだ 完全なる失態だ 目撃者がいてはならない 目撃者は、 ―――消さなければならない… 「…何泣いてやがる?」 低い静かな声だ 聞くもの全てに恐怖を与える ピキン… シンは床に散らばったガラス玉を踏みにじり、更に強く壁に押し付ける シンは苛立っていた 極秘事項が漏れたからではない それは最初に少女と出会った時から感じていた違和感 あの時には漠然としていた、同じ『人間』として認められない'何か' それがようやく分かったのだ 「そうやってただ泣くのは止めろ…。てめえは泣けば俺らが喜ぶとでも思ったのか?…馬鹿馬鹿しい」 シンはリンレイの瞳を直視する 「こんなガラス玉で俺が喜ぶと思ってんのか、ああ!?てめえは自分で自分の『涙の価値』を下げてるって分かんねぇのか!?」 シンは声を荒げた ビクッ リンレイの身体が強張った シンは腕の力を抜く するとリンレイは膝から床に崩れ落ちてしまった シンはリンレイを見下す形で、上から言葉を浴びせる 「俺はてめえの泣き顔は屁吐が出る程嫌いだ。……だからぴぃぴぃ泣くんじゃねぇ。てめえはもっと自分のプライドを持て、良いな。」 シンは横を向き、マルクの胸ぐらを掴んだ 「マルク、お前は今、何も見てない……よな?」 有無を言わせないシンの圧力に、マルクはただ頷く事しか出来なかった
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