得意技=弱点!?

柊 夢乃という人物

SIDE:竜翔

「あ～､もうっ｡相変わらず夢乃先輩って可愛いんだから！！！」
そう言いながら生徒会室に入ってきたのは書記の1年女子。
夢のやつ､とうとう生徒会メンバーまで陥落させてきたか。
高校に入ってからというもの､夢は意識的に【女子を】落としにかかっている。
最近では､一部女子は親衛隊状態らしい。
まぁ､女子って人数いれば男よりもよっぽど上等な防御網になるしな。
そんな風に考えていると
「そういえば､会長は夢乃先輩の幼馴染って噂ですけど､本当なんですか？」
唐突に聞いてきたのは､さっきまで大人しく書類仕事をしていた庶務の1年男子。
この質問にも慣れてきた自分もどうなんだ？と思いつついつも通りの回答をする。
「まぁ､幼馴染と言えなくはないな｡」
実際には幼馴染以外のなにものでもないが｡高校に入ってから何度も聞かれてきた【質問】。
登下校も含め学校では極力夢との接触を避けているせいか､パッと見はそうは見えないらしい。
「いいな～､会長はあんな可愛い人が幼馴染で｡同じ小さいでもナルはちっとも可愛くないし｡」
…男に可愛いを求めるのは良くないと思うぞ？
「うるせえよっ｡だいたい､てめーが女のくせにでかいんだよ！決して俺がちびなわけじゃねぇっ！！」
…いや､俺も彼女は女子としては背が高い方だと思っているが､お前も男にしては比較的小さい背丈に入ると思うぞ？
「よ～､遅くなって悪い｡って､ん？また1年コンビは痴話喧嘩か？」
新たに部屋に入ってきた会計｡入ると同時の台詞に
「「痴話喧嘩なんかじゃありません！！」」
反論するのは書記と庶務。
うん､息ぴったりだな。

「そーいえば､夢乃ちゃん､まった告白されてたよ｡しかも他校のやつ｡」
「..............だから､何故､毎度毎度､俺に報告する？」
「さぁ､なんででしょう？」

......イライラする｡むかつく。
けど､決して表になんて出してやらねえ。
そんな事した日には絶対にこいつらからかってくるだろ。