第1話フォーク

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何故、生き物を殺めてはいけないのだろうか。 ふと、そんな突拍子もない事を考えているうちに 僕は地面を這うようにして歩く蟻を踏み潰していた。 しかし、それは僕の意思ではなく単なる事故だと言えるだろう。 『運転中よそ見をしていたら人を轢き殺してしまった。』 『偶然ぶつかった相手が階段から転げ落ちて死んでしまった。』 そんな感覚と同じではないのか? 蟻を踏み潰して殺しても罪にはならないのに 人や猫や犬を殺したら罪になるんだ。 蟻にとってはひどく理不尽だろう。 じゃこれはどうだろう 『魚を釣った。この魚を殺して食べよう。』 『猪を見つけた。殺して食べよう。』 『あの牛はもう食用だな、殺してしまおう。』 簡単に殺して非道にも自分の栄養の一部にしている。 それなのに 『人がいる。殺して食べよう。』 こんなことをすると罪に問われるだけじゃなく 頭のおかしい奴だ、猟奇的だ、気が狂ってる そう罵られる。 そんなことを考えながら僕は今 コンビニでカツサンドを購入し、歩きながら食べている。
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