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「……アドレス、変わってないの何で?」
「別れる時言っただろ。ずっと好きだって」
「じゃ、何で水沢エリなんかと」
「それには黙秘権を行使する」
「ちょっと、ヒデオ」
ヒデオは少し軽蔑を含んだ視線をあたしに向けると、やけにきっぱりした口調で話し出す。
「水沢は男の味方してくれるヤツだよ。ヤリマンじゃないし、『なんか』って言い方、やめてやってくれ」
「何なの、それ」
「だから、黙秘権」
「ムカツク」
「もういいよ、お前帰れよ」
「ヒデオ!」
一際大きく声を上げると、かっとなったヒデオはあたしの腕を取り、そのまま床に突き飛ばす。
尻餅をついて顔を上げると、仁王立ちになったヒデオがあたしを見下ろしていた。
「冬休みの前……お前がラブホに入ってったの見た」
感情を抑えたヒデオの声に、はっとなる。
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