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ヒデオが動く度バカみたいに濡れて、あたしは情けない程声を上げた。
気持ちいい。
今、死にたい。
もっと、奥。そこ、して。
わけの判らないことをあたしが泣きながら口走る度、ヒデオはキスを降らせる。
ヒデオのセックスは加減を知らなくて時々痛かったけど、それさえ涙が出る程感じた。
水沢エリのことなんて、もう考えなかった。
何で去年これをしなかったんだと、後悔といえばそれくらい。
セックスは、あたし達からまともな視界を奪う。
強烈な魔力と、その快楽で。
流れるバラードはいつの間にかギターが高らかに哭く激しいロックになっていた。
去年流行ってたバンドのアルバムか、とぼんやり思った頃、ヒデオは気持ちをぶつけて来るようにして、果てた。
涙が止まらなかった。
その涙の意味は、自分でも判らない。
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