7.迷宮

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  「マナミ、馬鹿じゃないくせに判んないの?」 「馬鹿で悪かったわね」  リュータローは面倒そうに煙を吐き出すと、窓の方を向いてあたしを見ずにぽつりと言った。 「お前、まだ高校生だったじゃん。責任なんか取れないのに、ゴムくらい常識だろ。俺が先走って失敗して、マナミに高校辞めさせるとか絶対させたくなかったし」 「……え?」  ボリュームを抑えるリュータローの声がいい具合に掠れて、ドキリ、と息を飲む。  瞬きを繰り返すあたしの反応に、リュータローは眉をひそめた。 「何だよ。マジで信じてなかったわけ?」 「当たり前じゃん……だって、リュータローだよ?」 「判るような、判らないような理屈デスネ」 「だってリュータロー……下手したら、別れた奥さんとあたしの他にもいたよね?」  あたしがそう返すと、リュータローは乾いた笑いを漏らし、わざとらしく両手で顔を覆う。 .
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