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「マナミ、馬鹿じゃないくせに判んないの?」
「馬鹿で悪かったわね」
リュータローは面倒そうに煙を吐き出すと、窓の方を向いてあたしを見ずにぽつりと言った。
「お前、まだ高校生だったじゃん。責任なんか取れないのに、ゴムくらい常識だろ。俺が先走って失敗して、マナミに高校辞めさせるとか絶対させたくなかったし」
「……え?」
ボリュームを抑えるリュータローの声がいい具合に掠れて、ドキリ、と息を飲む。
瞬きを繰り返すあたしの反応に、リュータローは眉をひそめた。
「何だよ。マジで信じてなかったわけ?」
「当たり前じゃん……だって、リュータローだよ?」
「判るような、判らないような理屈デスネ」
「だってリュータロー……下手したら、別れた奥さんとあたしの他にもいたよね?」
あたしがそう返すと、リュータローは乾いた笑いを漏らし、わざとらしく両手で顔を覆う。
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