7.迷宮

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   額田が穏やかに笑いながら、また煙をふぅっと吐き出す。  穏やかに笑ってるけど、笑顔の目元の鋭さは、あたしには隠せない。 「……サイッアクだね、マジで。浮気したら、サナより先にあたしが殺してやるから」 「不都合はないから、お好きにどうぞ。しかしホントお前、恐ろしく名前と中身が一致しないな」 「そんなの自分で判ってるんだから、ほっといてよ。バーカ」  額田は笑ってたけど、胸が少しチクリと痛んだ。  そう、あたしの名前は“愛美”。  愛し愛される、その意味すら判らないあたしが、愛だの美しいだのなんて、なんか皮肉だよ。 .
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