7.迷宮

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   晴れて障害のなくなった二人は今、独り身であるあたしの前でフツーにイチャイチャしてる。  額田に途中までヤラれました、なんてことはなかったことになっている。 「ちょっと、トイレ」  無防備にそう言って立ち上がったサナに、額田が「化粧室って言え」と軽く眉をひそめた。  大人の女への躾でも始まってんのかな、と思いつつ、あたしはケータイを取り出す。  だって、額田と二人残されたって、気まずいだけで話すことなんてありゃしない。  すると。 「おい」  げ。  視線だけケータイから額田に移した。  煙草をくわえた額田が、にやりと笑いを含んだ表情であたしを見ている。 「……何よ」 「あのこと、サナに言わないんだな」 「あんた、バカ? そんなこと言って、わざわざ傷付けることないじゃない」 .
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