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額田が穏やかに笑いながら、また煙をふぅっと吐き出す。
穏やかに笑ってるけど、笑顔の目元の鋭さは、あたしには隠せない。
「……サイッアクだね、マジで。浮気したら、サナより先にあたしが殺してやるから」
「不都合はないから、お好きにどうぞ。しかしホントお前、恐ろしく名前と中身が一致しないな」
「そんなの自分で判ってるんだから、ほっといてよ。バーカ」
額田は笑ってたけど、胸が少しチクリと痛んだ。
そう、あたしの名前は“愛美”。
愛し愛される、その意味すら判らないあたしが、愛だの美しいだのなんて、なんか皮肉だよ。
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