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マドカのところに泊まって来る、と嘘をついて家を出て来た。
よく行くサナのところだと言ってもよかったんだけど、会う相手がヒデオだから、マドカの名前を借りた方がいいような気がしたんだ。
マドカは、中学の頃からのあたし達を知ってるから。
念の為にマドカにメールを入れると、会うのがヒデオだと判るなり、浮かれた絵文字がいっぱい入った了解メールが返って来た。
ヒデオと会うとしか打たなかったから、マドカはきっとあたしと彼がヨリを戻すんだと思ったに違いない。
どうせ、違うのにさ。
ヒデオは、いつまでもあたしを想うのは辛いと言った。
ヒデオが、あたしとどうケリをつけるつもりなのかは判らないけど。
この先一生、偶然でもヒデオと会うことすらなくなるような。
そんな決定的な別れが待っていることだけは、判っていた。
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