286人が本棚に入れています
本棚に追加
゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚
待ち合わせた駅前の歩道に少し乗り上げて、白のワゴンが停まっていた。
さっきヒデオが言ってた通りの、白のワゴン。
あたしはゴクリと生唾を飲み込んで、一度止めた足をまた進める。
真っすぐに歩いて行くと、ワゴンの窓からヒデオが顔を覗かせた。
「よ。時間通り」
今日、ラブホの前で会ってしまった時、あたしは振り返らなかった。
だから、ヒデオの顔は見てなかったんだけど。
高校の時は少し長かったヒデオの髪は、短く切り揃えられていた。
それは中学の野球部の時程ではなかったけど、何も考えずに笑い合っていた頃のことが急に思い出される。
あたしがヒデオを男だって意識するよりずっと前から、彼はあたしを見つめていた。
その意味がようやく判って、あたしはまた足を止める。
.
最初のコメントを投稿しよう!