5.伏兵

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   今、坂田ヒトシを特別に意識してるかどうかって訊かれたら、答えは微妙なんだけど。  前は、少なくともカレシ──ちょっと特別な人、だった。  そんなことヒデオに言ったら、また不機嫌になっちゃうんだろうな。 「サナさんはお元気ですか?」 「ん? ああ、サナ? 元気だよ。相変わらず、額田とラブラブ」 「ご両親に認めてもらったんでしたっけ」 「うん。サナは額田の籍には入ってなかったみたいで、他人だからって」  あたしがそう言うと、穏やかに微笑んでいた坂田ヒトシの顔が急に歪んだ。 「……あ、なんか急に胸が痛く……」  坂田ヒトシはそのまま俯き、胸のあたりを押さえてヨロヨロとガードレールにもたれる。 「ど、どうしたの?」  慌てて駆け寄ると、坂田ヒトシの苦しそうな顔がそこにあった。 .
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