6.変化

5/12
前へ
/34ページ
次へ
  「ま、あたしとしては、マナミの隣にはヒトシくんが立ってる方が座りがいいけどね」 「なんでよ」 「だってさ、ヒデオくんてば……ホラ」  サナが言いにくそうにしているその表情で、ピンと来た。  ヒデオが自ら退学する原因となった──水沢エリとのことが、サナ的に引っかかるんだろう。  確かに。  情事で高校ドロップアウトした男に、いい印象を持てと言う方が無茶だ。  サナは、自分の言ったことをフォローするかのように、慌てて続ける。 「それに、ヒデオくんと一緒にいるところ、あんまり見たことなかったからさ」 「……ヒトシくんは、よく教室まで来たりしてくれてたからね」 「そそ。刷り込みってやつかな」  あたしに不快感を与えていないか不安に感じていたらしく、サナはホッとした様子で付け加えた。  サナがそう思うのは、判らないでもない。 .
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

297人が本棚に入れています
本棚に追加