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「あ、それね。ホントは別れてない予定だったらしいよ」
「へ?」
「主役だった俳優さんのスケジュールの都合がつかなくて、別れた設定になっちゃっただけ」
それは初耳だ、とサナを見上げた。
「そうなんだ……って、それがどうかしたの?」
「うん、あたしが言いたいのは」
サナは立ち上がると、すっかり暗くなった窓の外を見ながらカーテンを閉める。
サナはそのまま振り返り、ニッと笑った。
「異常な状況下そのものがさ、
例えば神様の仕組んだものだったとするじゃん。
運命の二人がお互いに気付く
きっかけがそれしかなかったら、
異常な状況下は単なる勘違いじゃ
済まないことだってあるんじゃない? って」
「はあ……」
「“スピード”のカップルだって、最初の俳優さんが出てたら異常な状況下は単に二人の運命だった、って結論になるしさ。別れた設定になっちゃったから、異常な状況下で結ばれた男女は長続きしない説が有名になっちゃっただけの話で。運命って、つまりは結果論じゃん?」
「なんか難しいこと言ってる……」
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