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あたしとリュータローの関係を思えば、もう連絡しないから、の一言くらいあるべきなんだろう。
カレシに怒られたって言えば、リュータローは笑って頷いてくれるんだろうし。
ただ、怒られるのが怖いんじゃなくて、ヒデオをこれ以上傷付けるのが嫌だった。
登録外拒否をしてから、あたしはリュータローのアドレスを削除する。
これでもうリュータローから電話がかかってくることも、メールを受け取ることもない。
今度サナと額田に会ったとき、彼への伝言だけ頼んでおこう。
自分の中でそう決めたとき、バスタオルを腰に巻いたヒデオが、バスルームから出て来た。
ヒデオは冷蔵庫からビールを出しながら、あたしに視線を落とす。
「新しい携帯の調教?」
「うん。ハイ、見て」
「何」
あたしが新しい携帯を差し出すと、ヒデオは首を傾げた。
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