6.変化

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   おっしゃる通りです……とうなだれると、サナはようやく苦笑した。 「リュータローくんのことがあったばっかなんだから、しっかりしなよ。でないと、ヒデオくんが可哀相」  サナのあの腹の据わった感じを、どうしても真似したい。  そんなことを考えながら帰り道、ため息をついた。  あれは苦労した母親を見てきたからなのか、それとも年上の男と付き合っているからなのか、はたまた持って生まれた資質なのか。  ……多分、全部だな。  サナの言う通り、坂田ヒトシに抱きしめられたことはたいした問題じゃない。  ちょっとドキッとしたことも、瑣末な問題で。  問題なのは、それをどこかで気にするあたし自身、か。 .
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