7.奈落

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  「何かなんて……」 「そりゃ、ないにこしたことはないけど。マナミから連絡あったときは、助けてやるから。俺に新しい女ができてたとしても、な」  リュータローは時計を見、あたしに視線を流すとニッ、と悪戯っぽく微笑む。  その瞳に色づいた陰を感じて、あたしは口を尖らせた。 「バーカ。やらしいこと考えてんでしょ」 「はは。ま、マナミは特別だから。別れても切れても他の女に惚れても、俺、たぶんマナミのことはずっと好きだし」 「はあ!?」 「ま、この世にそういう男がひとりはいるって思っときゃ、耐えられることもあるかも知れないし、って思ってさ。今日はそれを言いに来たんだよ」  ふわりと緩んだリュータローの瞳は、いつかあたしを本気で好きだった、と告白したときの瞳と同じ色をしていた。 .
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