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「しかしお前が、黙って携帯折らせるような女だったとはね」
サナから聞いたのか、リュータローは紫煙をくゆらせながら、あたしを見て笑った。
「別に、頼んだわけじゃないもん」
「ハッ、そりゃそうだ」
前に会ったとき、傷みっぱなしだったリュータローの髪の毛は、今は短く整えられて、色ツヤもよかった。
生活、少しは落ち着いたのかな。
そんなことを考えていると、リュータローは笑うのをやめた。
「……カレシに気を遣って、やりとりできなくなるのは別に構わないんだけどさ」
「ん?」
「もし困ったことがあったら、額田先輩経由でもサナちゃん経由でもいいから、連絡よこせよ」
リュータローは携帯灰皿の中に煙草を押し込むと、それをポケットにしまった。
「なんで?」
「カレシと何かあったら、必要かもしれないだろ。逃げ場所」
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