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『別れても切れても他の女に惚れても、俺、たぶんマナミのことはずっと好きだし』
それが100パーセント本当じゃないとしても、別れるときに相手にあげる言葉として、こんなに優しいものってあるだろうか。
あたしだけの都合で、リュータローの都合など無視して、もう関わらないって言ってるのに。
なんか、泣きそうになった。
だけどあたしはヒデオが好きで、リュータローの手を振り払ってヒデオの手を取った。
だから、ここで泣くのはちょっと卑怯な気がした。
「……ありがと」
泣き声にならないようにそう呟くと、リュータローはヒラヒラと手を振って、あたしに背を向ける。
話は、5分もかからず済んでしまった。
ばいばい、あたしの初めての男(ヒト)。
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