7.奈落

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  『別れても切れても他の女に惚れても、俺、たぶんマナミのことはずっと好きだし』  それが100パーセント本当じゃないとしても、別れるときに相手にあげる言葉として、こんなに優しいものってあるだろうか。  あたしだけの都合で、リュータローの都合など無視して、もう関わらないって言ってるのに。  なんか、泣きそうになった。  だけどあたしはヒデオが好きで、リュータローの手を振り払ってヒデオの手を取った。  だから、ここで泣くのはちょっと卑怯な気がした。 「……ありがと」  泣き声にならないようにそう呟くと、リュータローはヒラヒラと手を振って、あたしに背を向ける。  話は、5分もかからず済んでしまった。  ばいばい、あたしの初めての男(ヒト)。 .
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