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「……マナミ。どんなふうに触れば、おまえに伝わる?」
その、懇願するような、低くて甘いささやきで、あたしはようやくヒデオの言いたいことを理解する。
いつもと同じように、あたしはイッた。
だけど、いつもとは違う。
それは、まだセックスなんて知らなかった頃、あたしとヒデオの関係がまだ平和なものだった頃のこと。
あのときあたしが抱いた感情が恋だったことを、今さら理解できるなんて。
浅い呼吸の中、涙があふれて止まらないあたしの目尻に、ヒデオは唇を落とす。
こんなふうに優しく触られたのは、初めてだ。
ヒデオはあたしの頬を撫で、瞼、額、鼻……とキスを降らせていく。
甘い、甘いキスを。
「マナミ……好きだ。
ずっと、好きだった……マナミ……」
耳元で、初めて聴くような甘い声が響いた。
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