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『悪いって思ってんなら……』
ヒデオのあの呟きを、あたしはどうして忘れてしまっていたんだろう。
こうして彼と抱き合う関係に辿りつくフラグは、このとき充分過ぎるほど立っていたって言うのに。
ヒデオは、ゆっくりとあたしを振り返る。
『本当に悪いと思ってんなら、
黙って俺の言うこと聞けよ。
その方が、いいから』
どきりとした。
それまで、同級生の男の子を、異性だなんて意識したことはなかったんだけど。
身体は大きいけど、いつもニコニコして周りを和ませていたヒデオが、あたしを強い目で真っすぐに見つめていて。
あ、オトコノコだ、って思ったんだ。
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