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女性優位の体勢であろうと何だろうと、主導権はいつもヒデオにある。
それに、あたしが動こうとしたところで、がっちり腰を支えるこの手がそれを許してはくれない。
いつもはそれで構わないんだけど、でも。
「別にさ、おまえを縛ろうとか、そんなこと考えてるワケじゃねーよ、俺」
下から女を突き上げる、という行為が楽ではないことは判る。
だけど、ヒデオは動きながら少し息を切らして、余裕のないあたしの様子を見ながら続けた。
「おまえがホントにそうしたいんなら、誰と寝たっていいよ。それで別れたいとか思わないし」
「なっ、に、バカなこと……」
「最後まで聞けって」
「ひっ、ん」
眉根を寄せて抗議しようとしたあたしを黙らせるためだけに、ヒデオは痛みを感じるほど強く突き上げてきて、思わず腰を引いてのけぞった。
でもすぐにお尻まで掴まれて、戻される。
こんな男を相手に、どこまでも非力なあたしが一体何をできるっていうの。
「けど、おまえを誰かと共有したいワケじゃない。そんなのはごめんだ」
矛盾したことを言っている。
だけど、だんだん思考回路が溶けていく。
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