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「サナさんと会う約束をしていた、ということは、今日は遅くなるか、泊まるつもりだったんですよね?」
ほら、始まった。
あたしは条件反射で身を縮こまらせる。
「とすると、今日はヒデオくんもいないんじゃないですか?」
ぎくぎく。
付き合ってた間、別にヒトシくんに対して報告魔をやってたわけじゃない。
あたしの何気ないひとことひとことを、こっちが思ってる以上にヒトシくんがいつもしっかり拾っていくからだ。
しかも、あたしの思考回路を見透かしてか、まだ言ってない思案まで、彼は見事に言い当ててくれる。
あたしだって考えなしにペラペラ喋っているわけじゃない。
言うべきことと、そうでないことの区別はつけているつもり、の筈なんだけど。
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