5.動悸

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  「あんっ、もう……やだ……っ!」  たまらずあたしは声を上げてしまった。  一瞬必死に伸ばした腕が、じんじんと痺れたように痛い。  高校出てから、一気に運動不足になってるからだな、これは。  ビーッ、と音がして、ゲームの終了を告げられた。  テーブルホッケーなんて大嫌いだ、もう。 「マナミさん……判ってたけど、弱い……」  張り合いがなさそうに呟いてから、ヒトシくんはクスクスと笑い出す。  前にジンと出くわした時のことをしっかり覚えているのか、最近のヒトシくんがあたしを誘い出す時は、地元から少し離れた繁華街。  1階にパチンコ屋の入った、アミューズメント施設だらけの10階建てビルの地下。  不健康そうなブルーのライトが心地いいこのゲームセンターには、初めて来た。 .
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