5.動悸

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   学校帰りそのままのヒトシくんは、ブレザーを脱いでパーカーを羽織っているから、特に見咎められるような格好じゃない。  何かと場所を取るアーケードゲームばかりが置かれたゲームセンターは爆音だらけで、すぐ上のパチンコ屋に負けていない。  UFOキャッチャーやプリクラは見当たらないから、本当にゲーセン、って感じで女の子だけの客には敷居が高い気がする。  ヒデオはこういうところにはあまり来たがらないから、ちょっと新鮮だった。 「でも、俺も久しぶりですよ。こういうとこ」  溜め息をつきながら、ヒトシくんはこっちへやって来た。  隅に置かれた休憩用の椅子に並んで腰かける。  ヒトシくんとは、こうして付かず離れず、といった関係が続いている。  言葉がきつい時もあるけど、ヒトシくんはきちんとわきまえた振る舞いをしてくれる。  春に学校で別れてからは、必要以上にあたしに触れない。  だから油断しているというわけではないけど。 .
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