5.動悸

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   もうヒデオとこじれるのはこりごりで、だったらヒトシくんと会ったりするのはもっての他、なんだけど。  あたしにもそれくらい、判ってるけど。  だったら何で会ってるかって。  こんなこと誰にも──マドカにもサナにも言えないけど、ヒトシくんはある意味あたしの安定剤みたいなものだ。  大好きで大好きで、嫌になるくらい好きな相手──ヒデオがあたしにはいる。  彼になら何をされてもいいし、彼の望むことなら何でもしてあげたい。  それは、嘘じゃない。  神様がほんとにいるんなら、誓ったっていい。  だけど、こズルイあたしのこの感覚、判るだろうか?  保険になんてするつもりはないけれど、ヒデオの他にも好きだと言ってくれる男がいること。  それが、たまらなく心地いいんだってこと。  もちろんヒデオには言ってないし、言えないんだけど。 .
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