5.動悸

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   そんなことで気持ちが良くなっているあたしをヒトシくんだけが知ってて、許されているこの状況。  いや、別に許されてはいないのか。  ヒトシくんはあたしに隙を見付けた瞬間、頭からバリバリ食べてしまうつもりでいるんだから。  危ないギリギリのラインにいるってことは判ってるんだけど、どうにもやめられない。  ヒトシくんも、あたしのその馬鹿げた感覚を知っている。  その上で、こうして時々誘ってきたりして、靡かないあたしを前に切ない片想いを楽しんでいるような感じだ。  男の人っていうのは、一度でも関係を持った女はもう自分のもの、と思いがちって言うけど。  ヒトシくんの態度がそこからくる余裕だ、なんて思っちゃいないけど、近いものはあるのかもしれない。  だって、ヒトシくんの言葉や態度に、今のところ本気がちらついていないから。  これは戯れだとヒトシくんがそれとなく伝えてくるから、冗談みたいな脅し文句について来てしまってるあたしがいるわけで。 .
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