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「だったら一度、仲裁役やってやればいいだろ」
相変わらず水蒸気の電子煙草を蒸かしながら、額田は面倒そうな視線をあたしに向けた。
サナに指定された待ち合わせ場所がここなだけで、別にコイツに相談したくて来たわけじゃないけど、額田のいるこの保健室は、何だか相談所みたいになっている。
額田という男はそう善人でもないし口も悪いけど、意外と面倒見がいいのだ。
さっきも、あたしが来た時に女の子のグループがいて、そのうちの一人が泣きながら額田に「ありがと」と言って帰って行った。
何だったの、って訊いたら額田は「お前には関係ない」って言った。
口も堅いらしい。
サナと仲良く友達をやっている間はとりあえず敵に回ることはないんだろうな、というのが最近あたしも判って来て、こうして愚痴ってみてるわけなんだけど。
額田は少し疲れた様子で煙草をまた充電器に差し込むと、大きく息をついた。
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